6/21、北欧の夏至祭をテーマにした「北欧の(おうちで)音楽ピクニック」と題したオンラインの企画(番組)があります。北欧各国のミュージシャン、そして縁のある日本の音楽家たちが全62組、1曲ずつそれぞれが用意した動画で出演します。僕は北欧音楽が専門ではないですが、縁あってお声かけいただき、田んぼの島からいつもの「野あがり」の歌の様子を撮影しました。
さてその企画の中でちょっとしたインタビューがあり、「日本の夏至」について聞かれました。ところが、各地集落での体験や、「美杉」での実生活を通しても、直接「夏至」を意識した行事に出会ったこと、聞いたことが無く。インターネット検索で出てくるという二見浦の「夏至祭」についても聞かれましたが、比較的新しいもののようで、民俗関係の書物などで改めて調べてみても、 やはり日本での夏至行事は少ないというのが実際でした。その理由についてはインタビューで語ったのですが、ただ、 「夏至の頃」となると、実は農村行事は多く。よい機会なので、住んでいる美杉で行われている祭り等を中心に、紹介したいと思います。
※北欧の音楽ピクニックインタビュー記事はこちらから「日本に夏至祭ってあるの?」の項>
https://www.music-picnic.club/blog
「夏至の頃」、正確には「夏至の後の頃」となると、農村行事は多く、それは、昔の田植えの時期が6月の終わり頃だったから、ということに尽きます。田植えが終わると「のあがり」「サナブリ」等と言われて、田から上がり一休み。畔に豆を植え、餅をお供えして祀ったり。また地域によっては、害虫駆除と供養を兼ねて「虫送り」というものがあったりもします。これも田植えを終えてからの行事。
三重に来て、多いと感じるのは「浅間信仰」。富士山の浅間神社に由来するお祭りで、これは富士山の山開きに合わせて行われるので、今の暦では7月1日前後。 伊勢の漁村などでは特に手厚く行われてるようですが、 その様子は僕は実際に見に行ったことがありません。農村では、やはり田植え後に無事を祈るという意味合いが付加されている気がします。
僕が住む、美杉の竹原地区では、この頃各集落に、長くまっすぐな青竹の先に真新しい紙垂が風にはためく様子が、道路を走っていても見られます。うちの集落では、今は6月最終の日曜に 「中垢離(なかごおり)」という神事として行われます。4軒の当家さんにより、集落を見渡す一番高いところと低いところ、山と川の二か所に、事前に切り出しておいた竹を立てて来て、他の住民はその間、公民館で待ち、戻ると公民館に祀った神棚さんへ皆で手を合わせ、その後お酒を飲んだりします。
昔は、実際に富士山に登って来た人たちが、1週間、浴衣のような装束を来て、 公民館で寝泊まりをし、毎日 川で水垢離(禊)をして、その川の水で米を洗って炊き、ということをやっていたそうですが、今はずいぶんと簡略化されています。それでも毎年決まって竹を立てると言うのは、やはり集落の安全、米の豊作をこの時期に祈る気持ちからでしょう。ちなみに幼い頃、当時横浜から夏休みに帰った祖父母の家、松阪の平野部でも、やはり田んぼを見渡す川沿いのエノキの木に竹が立ててあり、「浅間(せんげん)さん」と呼んで、親しみを持って木の周りで遊んだものでした。
風土が変われば行事も変わるもの。来年はまた野上がりに田んぼで、皆と集えればと願いつつ、今年は、北欧各国の夏至を、音楽を通して楽しみたいと思います。みなさんもぜひ、この機会にご参加ください。
北欧の音楽ピクニック
6月21日(日)夏至 12:00よりyoutube無料配信≫
https://www.music-picnic.club/
追記:同番組は6/27(土)19:00(日本時間)~再配信されます。